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2020年4月10日 大林宣彦監督が亡くなられました。 2020年 4月10日 19時23分…映画作家・大林宣彦氏が、肺がんのため東京世田谷の自宅にて亡くなられました。 享年 82歳。この日は本来なら劇場最新作の映画「海辺の映画館 キネマの玉手箱」の公開日となるはずでしたが、 昨年末からの世界的規模での新型コロナウィルス流行の影響から、公開延期が決まったばかりでのことでした。 (亡くなられた時刻は、新作映画が公開されていれば、ちょうど初日舞台挨拶が終る頃合いだったとの事…。) 大林監督は、前作「花筐/HANAGATAMI」クランクイン直前の2016年8月、ステージ4の肺がんと診断され、 余命3ヶ月と宣告。その後投与した薬の効果もあり前作は完成、その後も闘病は続いたものの新作の製作も始動し、 こちらも撮影・編集作業も乗り越えて昨年秋の「東京国際映画祭」にてワールドプレミアを迎えました。 その後、「広島映画祭」でもプレミア上映を果たし、同映画祭の「ヒロシマ平和映画賞」を受賞されました。 ちょうどそんな2019年秋ごろから監督の体調に急激な変化が…この頃から食欲が急激に落ちてきたそうで、 今年に入ってからは新型コロナウィルス感染のリスクを避けるため医師の往診を受けていたそうですが、 2020年3月には腰に激しい痛みを感じるなど、体調が急変していたとの事。 2月末に予定されていた「尾道映画祭」にも新作のプレミア上映に併せ、尾道三部作の一挙上映などの企画もあり 大林監督も登壇にも意欲的だったそうでしたが、こちらも新型コロナウィルスの影響を鑑みて今年度は中止となり、 一般公開も延期に…。 「監督は映画が完成し、公開するまでは死ねない。」とは、これまでの大林監督の口癖だったのでしたが…。 追記…2020年4月14日、大林恭子夫人(株式会社PSC代表取締役)よりコメントが届きました。 この度、監督は、次回作のロケハンに出かけました。 連日連夜、映画の夢の中、撮影現場にいるらしい監督は元気な声で 「ヨーイ、スタート。カット。オーケー。皆、お疲れさん、ありがとう」 毎晩その楽しそうな声に私は目を覚まし、「お疲れさま、ありがとう」と答えていました。 数日前、真夜中に講演らしきお話をしていました。 そんな中「岩井君、手塚君、犬童君、塚本君たちが映画をつないで平和な世の中に……」と、 とぎれとぎれ聞こえてくる言葉、いつもと変わらない最後の言葉「ありがとう」。 そして、監督が繰り返した「皆さん、ありがとう」を監督の遺言としてお伝え致します。 私との63年間の日々は、文学と音楽と映画の日々。 いつも監督の口癖は「眠るのは死んでから充分眠れるのだから眠るなんて勿体ない」と 本当に眠りませんでした。 今頃、ロケハンの途中の天国村で、 黒澤 明監督や本多猪四郎監督、立川談志さん、高畑 勲監督、和田 誠さんにお会いして、 映画談義が尽きることなく、やっぱり眠っていないのではと思います。 まだまだあふれる才能の持ち主、彼にあと三倍の映画の時間をあげたかった。 大林作品を愛して下さったすべての人に監督の「ありがとう」をお伝えしたく存じます。 「ありがとう」の言葉に、毎晩、私からも監督に「ありがとう、愛してる」と真夜中の涙。 すると「お休み……」と返事が…。 今頃ロケハンで未知なる道を見つけてくれていることと思います。 2020年4月14日 大林恭子
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